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近年、日本国内でのアライグマの目撃情報や被害報告が増加しており、身近の問題となってきています。この記事では、アライグマ被害に悩む一般住宅や農業関係の人に向けてアライグマの駆除方法を紹介します。また、アライグマの駆除に必要な予備知識や被害の多い都道府県の統計から、おすすめ対策グッズも紹介していますので是非参考にしてみてください。
本来アライグマは日本には生息しておらず、1977年に流行した日本のアニメをきっかけに、ペットとして輸入された個体が野生化して、日本に幅広く生息するようになった外来種です。アライグマは大人になると性格が狂暴になる傾向があり、不用意に近づくとケガや危険な感染病にかかる可能性がありますので、正しい駆除方法を知った上で対処するようにしましょう。
アライグマは鳥獣保護法により守られていますが、捕獲や殺傷をしない限り個人での対策を行っても問題ありません。忌避剤で追い払ったり、自宅に侵入できないようにフェンスや侵入経路を塞ぐことは許可されています。もし捕獲する場合は、役所に届け出ることで、無料で罠カゴを貸し出してくれますので、個人で対処することが可能となっています。
ただし、無許可で捕獲をすると法律違反となりますので、捕獲する場合は必ず役所に許可を取るようにしてください。
アライグマを自分で駆除する場合に、取るべき手順を詳細に解説します。これらの手続きと対策を行えば、アライグマの被害を止めることも可能です。一般住宅被害を想定した駆除手順を主に紹介していますが、農業や工務店をされている方にも参考になる情報を盛り込んでいますので、個人での対策を考えている方は、ぜひご参考にしていただければと思います。
ほとんどの役所・自治体では、アライグマなどの害獣対策として、無料での罠カゴ貸し出しを行っています。役所で「有害鳥獣捕獲許可申請」という申請を行うことでこの罠カゴを借りることができます。申請に必要な書類を記入するだけで申請が簡単に完了しますので、役所で担当部署を確認し、捕獲許可を貰いましょう。また、申請部署は市町村によって部署名が違っており、多くの場合は「環境○○科」や「農政○○科」といった名称の部署が、アライグマを含む野生動物の対処について相談できる窓口となっています。役所の受付で確認すればすぐに教えてもらえるため、職員に聞いてみましょう。
また捕獲機は特殊な構造となっており、初めて罠カゴを利用する場合は扱い方がわからないことが多いため、しっかり罠カゴの使い方について教えてもらいましょう。
罠カゴはアライグマの通り道・家の中に入ってくる穴の付近・人目のつかない狭い場所や餌場に設置することが一般的です。アライグマの糞が落ちていた場所や、家のどこから入ってきているのか目星がついている場合はそれらの侵入経路に仕掛けましょう。
プロとしてのアドバイスとしては、和風建築のお家なら縁側の下に罠を設置すると捕獲の成功率が高いです。一般住宅ならば、直射日光が当たりにくい日陰に置いたり、罠カゴの入口以外を葉っぱなどで隠して捕獲の成功率を上げます。
罠の中に入れる”寄せエサ”については、「コンビニのチキン」「キャラメルのポップコーン」を入れるとアライグマが簡単に捕まります。雨が当たるとエサの匂いが半減してアライグマがエサに気付きませんので、濡れないように設置しましょう。
アライグマが罠に引っかかるまで、アライグマを家から一時的に追い払う作業を行います。アライグマが天井裏や床下に隠れているかもしれませんので、突然遭遇せず安全に対策を行うために追い出します。主には、燻煙剤・木酢液・ハッカ油を使って追い出し作業を行います。おすすめは、バルサンや類似商品の煙タイプ商品を購入して追い払うことです。これらの燻煙剤は、アライグマには直接的な害はありませんが、アライグマが嫌がる成分が含まれていますので、追い払うには十分な効果があります。
また、体毛の中にはノミやダニなどの害虫が沢山寄生していることが多いため、自宅に持ち込まれたこれらの害虫を駆除する目的でも燻煙剤をおすすめします。燻煙剤は室内で使用しても天井裏にはほとんど煙が届かないため、室内だけでなく、家のどこかにある天井の点検口を見つけて天井裏に燻煙剤を直接置くように心がけましょう。
追い払う作業が終わったら、侵入経路の対策を行うようにしましょう。アライグマは縄張り意識が強く、一度侵入した場所には再び戻ってくる習性があります。
アライグマが家のどこから侵入しているのかを見極めて、その箇所を塞ぎます。アライグマは手先がとても器用な動物で力も強いため、段ボールや網を設置しても簡単に突破されてしまいます。そのため、硬くて頑丈な素材の板やパンチングメタルを使って塞ぐことが一般的です。
おすすめの封鎖方法としては、ホームセンターで画像のようなパンチングメタルと業務用のハサミを購入してアライグマの侵入経路を封鎖することがおすすめです。固定方法はクギで固定するか、コーキング(強力な糊)で取り付けましょう。
アライグマの侵入経路を的確に見極めて、すべての侵入経路を塞ぐことができればアライグマが家に入ってくることは無くなりますのでしっかり侵入箇所を対策しましょう。
アライグマを追い払ってもまだ近くに潜んでいる可能性が高く、戻ってこないようにエサ場や水飲み場を無くしましょう。アライグマはよくゴミ置き場や木に実った果物をエサにします。また雨水をためている水瓶・壺もアライグマが水を飲みに来る原因になりますので、不要なものは出来る限り取り除くようにしましょう。
アライグマを寄せ付けないようにするには、カプサイシンか木酢液の使用がおすすめです。カプサイシンとはチリパウダーや唐辛子に含まれている成分です。よく防犯用スプレーに含まれている成分で目や鼻に入ると強力な刺激を受けるため、アライグマが寄り付かなくなります。駆除が成功しなかった場合は、チリパウダーを大量に購入して侵入経路や通り道に大量に振り撒くとアライグマの駆除が成功することも多々あります。
ただし、カプサイシンは自然由来の成分で効果切れが早いです。土壌の上に散布した場合は、土の中の微生物により2日半~8日で効果が半減しますので、雨風に当たらないようにしてビニールやコンクリートの上に撒くようにしましょう。そうすれば、一か月以上は効果が持続します。掃除が大変ですので最終手段として活用することを推奨しています。
アライグマの被害かを調べるために足跡や鳴き声を紹介します。アライグマの足跡は、手の形に似ており、5本の指がはっきりとした特徴的な形状をしています。環境によっては、アライグマの親指が痕跡として見えずらいことがあります。足跡を見つけた場合は、アライグマが近くにいる可能性が高いです。また、鳴き声には「クルルル」「ギャー」という鳴き声が特徴的であり、夕方から夜間に活動することが多いため、夜にこの音が聞こえたらアライグマの存在を疑ってください。
[アライグマの鳴き声]
もしこれらの痕跡からアライグマではない場合は、害獣別の鳴き声を別記事にまとめていますので参考にしてください。
アライグマは様々な被害を及ぼします。アライグマの駆除をせずに被害を放置してしまうと掃除が大変になったり家の修繕をする必要も出てくるため、早めに対策を行うように心がけましょう。下記項目が主にアライグマの及ぼす被害の一覧です。
これらの被害を放置し続けた場合、天井に糞や尿が溜まり天井の板が劣化して最終的に糞の重みに耐えられなくなり天井に穴が開いてしまうことがあります。アライグマが室内に落ちてくることもありますので、このようなことになる前に自分で駆除をするかプロに相談してましょう。
都道府県をクリックして詳細を確認
害獣駆除対策センターの駆除統計に基づきアライグマのみの相談件数を表示しています。都道府県をクリックすると詳細が確認できますのでお住まいの都道府県の情報を確認しましょう。このアライグマのヒートマップから確認できるように、関東・関西を中心にアライグマの被害が集中していることが確認できます。特に東京と兵庫県では相談数がとても多く注意が必要です。
グレーで表示されている都道府県でもアライグマがいない訳ではありません。地方の物件や農家は基本的にご自身で対処するか、被害を放置する傾向にあります。被害の放置はアライグマのいたずらがエスカレートしますので、早めに対処するようにしましょう。
アライグマは北アメリカから輸入されてきた動物で海外の病原菌を媒介しています。日本で一般的ではない病気に感染する恐れがありますので、アライグマに近づくことはとても危険です。参考にアライグマの持つ病原菌・病気で代表的なものを紹介します。
病原菌(危険度) | 症状 | 参考資料 |
---|---|---|
狂犬病 危険度:★★★★★ | 死亡率ほぼ100%の大変危険な病気。ワクチンを未然に接種している場合は助かる可能性あり。 | 参考 |
ペスト症 危険度:★★★★★ | 死亡率が50%~40%。人間同士でも飛沫感染する場合があり、潜伏期間は通常1〜7日。 | 参考 |
アライグマ回虫 危険度:★★★★☆ | 目の中や神経に寄生する。視力障害・神経障害・発達障害の障害が現れる。 | 参考 |
レプトスピラ症 危険度:★★★★☆ | 死亡率が30%~20%。皮下出血や鼻血から、致死率の高い肺出血まで様々な症状が現れる。 | 参考 |
トキソプラズマ症 危険度:★★★☆☆ | HIV感染者の場合、危険度が増す。治療が遅れ、重傷化した場合死亡率が12%。 | 参考 |
エキノコックス症 危険度:★★☆☆☆ | 死亡率が2.2%。障害が残る可能性があり、完治しても再発症することがある。 | 参考 |
サルモネラ感染症 危険度:★☆☆☆☆ | 死亡率が0.1~0.2%。いわゆる食中毒の原因菌。急性の発熱、腹痛、下痢、などの症状。 | 参考 |
このようにアライグマとの接触はとても危険ですので、駆除や防除の対策を行う際は追い出し作業を行ってから、侵入経路やその他の対策を行うことが重要となります。もし、体調に変化を感じたら速やかに病院で診察を受けましょう。上記死亡率は早期治療であれば確率を下げることが可能ですので病状を放置しないようにしましょう。
アライグマの駆除や忌避には、様々な商品がありますが「追い出しに使う煙タイプの燻煙剤」と「カプサイシンを含んでいる商品」「木酢液」をおすすめです。特に設置場所をしっかり理解した上で使用すれば駆除の成功率が高まりますので是非参考にしてください。
木酢液はアライグマが嫌う臭いで高い忌避効果があります。スプレーボトルに入れて振り撒くことが広範囲での使用に便利です。スプレーボトルで散布すると蒸発して2週間ほどで効果が切れますので、再散布する必要があります。長期間効果を持続させるには、コップに入れて置いておくと1か月以上は匂いを発生させ続けます。匂いがしなくなったら補充しましょう。コップに入れる場合は、効果範囲が2mほどですので、特定の場所をアライグマに通ってほしくないときに便利です。
バルサン系の燻煙剤はアライグマを家から煙で追い払うのに活用します。天井裏に繋がる点検口を開けて設置することで最大の効果を発揮します。また、アライグマが持ち込んだ害虫を合わせて駆除できるためおすすめしています。アライグマは体毛にノミとダニが付着していることが多く、もし室内にも被害が出ている場合はお部屋の中でも焚くようにしましょう。
屋外での使用はカプサイシンを含んでいるいわゆるレッドシートと呼ばれる商品がおすすめです。一定間隔で括り付けて広範囲の対策を行います。ほとんどの商品の効果期間は1年と長めの効果が期待されます。カプサイシンはアライグマの忌避にとても高い効果がありますが、自然由来の成分ですので自然環境の中では徐々に分解されてしまいます。土や木に括り付けると微生物による分解が早まりますので空中に吊るすようにして使用することが推奨されています。
また、農業関係の場合はこれらの商品が卸し業者から安く購入できる場合もありますので、個人購入か業者さんからの購入のどちらが安価か確認しましょう。
それでもアライグマの被害が止まらない人に向けて、最終手段として実施できる駆除方法を紹介します。特に次に紹介する木酢液を等間隔に設置する手法をおすすめしていますので是非参考にしてみてください。
ペットボトルの四分の一ほどの分量で木酢液を入れて、ペットボトルに3センチ以上の穴を2~3か所ほど開けます。できる限り雨が中に溜まらないように工夫して、屋外や侵入経路に設置します。2メートル間隔で木酢液入りのペットボトルを置いていきましょう。木酢液はあらゆる害獣と害虫の両方に効果がありとてもおすすめの手法です。
チリパウダーにはカプサイシンが豊富に含まれており、アライグマの忌避に抜群の効果があります。土の上に直接ふりかけてしまうとすぐに分解されてしまいますので、コンクリートの上かブルーシートの上に撒くようにしましょう。また、雨で流されてしまうこともありますので屋根のあるところに撒きましょう。
タヌキとアライグマはとても似ています。どっちかわからない…という場合はアライグマの尻尾に注目してみると分かりやすいです。
アライグマの尻尾に黒色の輪があるのが特徴です。
他に、見分けるポイントとしては、もう一つはアライグマの足指の数です。
アライグマの足指の数が前後5本に対して、
タヌキなどは足指4本です。
ただし、アライグマとタヌキは駆除の手順はほとんど同じです。タヌキも木酢液を嫌い、煙を焚けば逃げます。好物まで同じ傾向があり、唯一の違いはアライグマの方が手先がタヌキより器用なくらいです。
当社、害獣駆除対策センターではアライグマを含む様々な動物の駆除実績があります。侵入経路を確実に特定して、2度とアライグマが家に入ってこられないように対策をすることが可能です。無料で現地の調査からお見積りまで提供していますのでお気軽にご相談ください。害獣駆除は業者によって駆除方法や料金まで様々な業者が存在しますので、相見積もりを取っていただいても問題ありません。比較検討してプロにお任せしましょう。
参考資料