ネズミが媒介する病原菌について。

すがすがしい好天がつづき、おすこやかに毎日をお過ごしのこととお伺い申し上げます。さて、今回はネズミを介して引き起こされる様々な病原菌についてお話しして行きたいと思います。

ねずみによって引き起こされる被害はさまざまにありますが、そのひとつが、病原菌を媒介するということです。

不衛生な場所を移動するねずみは、全身に病原菌をまとっていると言っても過言ではありません。菌やウイルスは、ねずみの身体の表面に付着しているだけでなく、フンや尿にも含まれています。ねずみは尿を垂れ流しながら動く習性があるため、ねずみは、家の中に病原菌をまき散らしながら動き回っているということになります。

また、ねずみに寄生しているダニなどを通じて、菌やウイルスが人間に感染するというケースもあります。

そうした病原菌は、時に、深刻な症状をもたらす病気につながることもあるのです。ここでは、ねずみが運んでくる菌・ウイルスがもとで起こる危険な病気について、紹介します。致死率(かかった人が死亡する割合)をもとに危険度をランキングしてみました。

危険性(★★☆☆☆)  サルモネラ菌

サルモネラ菌は、ねずみが保有する病原菌の一種です。チフス菌もその仲間ですが、チフス菌を除いたサルモネラ属の菌を特に食中毒性サルモネラと呼んでいます。その名のとおり食中毒の原因になる細菌です。

毎年100~130件、2,500~2,700名ほどの患者が報告されています。致死率の高い病気ではありませんが、子どもやお年寄りなどが感染すれば重症化する可能性は高いです。

予防薬のようなものはないため、食材の十分な加熱などで防ぐしかありませんが、ねずみによって菌がばらまかれると調理済みの食品を入れる容器が汚染されて、感染につながる場合もあり、注意が必要です。

危険性(★★☆☆☆)  パラチフス菌

チフス菌の一種パラチフスA菌の感染によって起こる病気です。症状は腸チフスに似ていますが、さいわい、腸チフスよりは症状が軽いことが多いです。

2004年に感染者が急に増えた例がありますが、それ以外は例年20例ほどの感染にとどまっています。おもに海外で感染することが多いので、海外、特に途上国などに行った際は、食べ物の衛生状態に気を配る必要があります

危険性(★★☆☆☆)    腸チフス

チフス菌は食中毒の原因になるサルモネラ菌の仲間で、これに感染することで起こる病気のひとつが腸チフスです。

チフス菌はねずみがいる環境で菌に汚染された飲食物から感染します。世界中で見られますが、衛生環境の悪いところで感染・流行するため、発展途上国での被害が多くなっています。

日本では年間30~70人の患者が報告されていますが、多くは海外の渡航先での感染でしたが、最近は海外渡航経験のない人の感染が増えており、この原因が不明であることから警戒されています

危険性(★★★☆☆)   E型肝炎

E型肝炎はウイルス性肝炎の一種です。おもに汚染された食肉などから感染(経口感染)しますが、このウイルスをねずみが媒介することがわかってきています。

日本ではE型肝炎の症例は少なく、過去にはほとんど海外での感染でしたが、近年、ウイルスは日本にも土着化したものとみなされています。そうしますと、人間と接する可能性の高いねずみから感染する危険性は高まっていると言えます。

E型肝炎は、妊婦が感染した場合は劇症化し、致死率は20%にも上りますので、特に注意が必要です。肝炎にはワクチンがありますが、E型に対応するものは今のところ完成していません。

危険性(★★★★☆)       ツツガムシ病

ねずみにはダニが寄生していることがよくあります。このダニの中には、リケッチアという微生物に感染しているものがあります。リケッチアに感染したダニの一種、ツツガムシに刺されることで人間が感染するのがツツガムシ病です。

ねずみそのものが菌を持っているわけではありませんが、ねずみよって運ばれてくる病気と言えます。媒介するダニは3種類おり、そのうち0.1~3%が菌を持っていると言われています。

危険性(★★★★★)       鼠咬症

鼠咬症はねずみに直接、咬まれることによって感染し、起こる病気です。

鼠咬症スピリルムまたはストレプトバチルスという2種類の菌のいずれかが原因菌で、厳密には感染した菌により「鼠咬症スピロヘータ感染症」と「モニリホルム連鎖桿菌感染症」の2つに分類されます。世界中でみられますが、日本では前者のほうが多いです。

発症すると咬まれた傷口はただれたよう(潰瘍)になり、付近に発疹が出ます。合わせて39度ほどの発熱があり、頭痛や寒気、震えといった症状が出ます。熱は数日でいったん下がりますが、ふたたび発熱し、これを数回繰り返すという経過をたどります。

危険性(★★★★★)      ペスト

ペストは、ねずみによってもたらされる病気の代名詞と言えるものです。

感染したねずみの血を吸ったノミが人間を刺すことで感染します。14世紀のヨーロッパで大流行し、当時の人口の三割が失われたと言われています。現代では衛生環境の改善で感染数も減り、日本では1926年を最後に患者は報告されていません。それでも、海外ではいまだ感染例があります

予防薬やよく効く薬もできていますが、早期に治療がされないと致死率は高い危険な病気ではあります。ペストには腺ペスト、肺ペスト、敗血症型ペスト、皮膚ペストなどの種類があり、中でも危険度が高いのは肺ペストで、適切な治療が行われないと2~3日で呼吸困難で死亡します。

危険性(★★★★★)        レプトスピラ症

ねずみの排泄物に含まれているレプトスピラ菌が、水や土壌を経て感染する病気です。

特に重症なものはワイル病と呼ばれ、感染者の一割程度いるとされます。日本では、1970 年代前半まで年間50 名以上の死亡例が報告されていましたが、近年は減少しています。ですが、沖縄県では現在でも散発的に流行することがあります

レプトスピラ症は人間だけでなく家畜やペットにも感染する人獣共通感染症のひとつです。犬やハムスターが感染すると急激な症状が出て死亡してしまいます。ワクチンが開発されていますが、菌のタイプによっては対応しないこともあるため、完全な予防法には至っていません。

危険性(★★★★★)       腎症候性出血熱

ねずみが保有している代表的なウイルスと言えるのがハンタウイルスです。ハンタウイルスが原因の病気は、長らく世界中で原因不明の風土病・奇病として扱われてきました。

腎症候性出血熱はハンタウイルスが原因の病気で、ねずみの排泄物を通じて感染します。1931年に中国で発見され、現在も中国・韓国を中心にみられますが、ヨーロッパでも例があります。日本では1960年頃から約10年間にわたり大阪で流行しました。

症状は発熱、頭痛、腎不全、皮下および臓器における出血などですが、今のところワクチンをはじめ有効な治療法が確立されていません。この、はっきりした治療法がないということが、ハンタウイルスの危険な点だと言えます。 そのため、対症療法にならざるをえず、腎不全の症状が重い場合は人工透析が必要になります。

〜最後に〜

ねずみがこんなに危険な病気を媒介するなんて、怖いですよね。さいわい、現代日本の衛生環境では、危険な病気が爆発的に感染することはほとんどないだろうと考えられます。

ですが、ねずみが細菌やウイルスをまきちらしているのも事実。油断せず、ねずみへの対策を怠らないことが大切なのです。

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