コウモリの媒介する病原菌

コウモリの持つ感染病について

コウモリは数多くの病原菌や寄生虫を媒介する生物として有名な動物です。代表的な媒介するウイルスは、SARS(重症急性呼吸器症候群)・ヒトプラズマ菌・ニパウィルス・狂犬病・リッサウィルスがあります。中には治療薬となるものがないウイルスもありますのでそれぞれのウイルスについてご紹介いたします。

SARS(重症急性呼吸器症候群)

SARSはキクガシラコウモリが自然宿主と言われており、キクガシラコウモリ以外のコウモリも広く媒介しているウイルスと言われてます。唾液や糞便にSARSが検出されており、コウモリの糞に触れるのは大変危険ですので除去の際は注意が必要です。

SARSに感染した場合は、潜伏期間が平均で5日で発熱や筋肉痛などといったインフルエンザに似た症状が発症します。現在では治療薬が開発され80%の感染者が投薬により回復しします。20代~30代の感染事例の中に、無症状のまま回復に至ることもあり免疫力によっては軽快することもあります。なお、2割ほどの感染者は呼吸器官に異常が起こりARDS(急性呼吸窮迫症候群)へと悪化することがある。集中治療を必要となり状況によっては死に至ることもありますので早期に病院にかかるようにしましょう。

ヒトプラズマ菌

ヒトプラズマ菌はコウモリの糞から検出されるウイルスです。コウモリの糞は乾燥しており、空気中に舞った粉塵を吸い込むことで空気感染します。

ヒトプラズマに感染しても軽度の症状、もしくは無症状で感染に気が付かないことが多い。ただし、長期に渡る吸引で症状が発症し後遺症が残る場合もあります。なお、乳幼児や55歳以上が重症化しやすく注意が必要です。感染時に発生する症状としては、発熱,咳嗽,筋肉痛,胸痛,重度の倦怠感(鬱),呼吸機能障害、肝脾腫,リンパ節腫脹,骨髄病変など多岐に渡る症状が現れる。

ニパウィルス

ニパウイルスはコウモリが自然宿主とされている。感染経路としてはコウモリから「家畜」や「ペット」を介して感染がすることが多いとされています。その多くは、糞尿への濃厚接触で感染しており、一部の症例にはコウモリから直接ヒトへ感染した報告もある。

感染時の症状としては、発熱、頭痛、めまい、嘔吐などの急性脳炎症状がみられる。感染者の内の半数は意識障害、脳機能不全などの症状がみられる。マレーシアにおいて感染症アウトブレイクが発生した際、感染者の40%が死に至っており極めて危険性の高い感染症です。

狂犬病

感染原因として、噛まれることやひっかき傷で感染する。なお、高密度の糞便の粉塵により気道粘膜感染が感染原因となることもある。

感染時には1か月~2か月ほどの潜伏期間を経て、自我を失うほど強烈な発熱、頭痛、嘔吐、筋肉の緊張や痙攣が起こる。極度に強力な症状がでるため錯乱・幻覚・発狂を引き起こし、治療法もない為ほぼ100%の確率で死に至る非常に危険なウィルス。

発症した場合の治療法はありませんが、噛まれたあとすぐに石鹸と水で洗い流し除菌を行った上で、医療機関で狂犬病ワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリンを投与することで発症前に治療できる可能性がある。

リッサウイルス

リッサウィルス感染症は狂犬病類似ウィルスとされ極めて狂犬病と似た症状が発症する。病原体自体も酷似しており識別が不可能とされている。

感染経路も狂犬病同様に噛まれることやひっかき傷、媒介動物との濃厚接触で感染する。

潜伏期間は1か月弱~3か月ほどを経て症状があらわれ、強い神経親和性を持つことから発症後、5日から5週間以内に例外なく感染者は死亡している。治療法は狂犬病同様ないため、コウモリなどの媒介動物との接触を避けるほかありません。

最後に

本ページで紹介できたコウモリが媒介するウイルスの一部しか紹介できておらず、他にも様々な感染病や寄生虫から未知のウイルスまであります。一般住宅に現れるアブラコウモリ(イエコウモリ)にも当てはまるウイルスもありますので被害を受けれいる際は早期対処することをお勧めします。

参照(NIID国立感染症研究所)

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