イタチの媒介する病原菌

イタチの持つ感染病について

日本に生息するイタチは様々な感染病や寄生虫を媒介しています。イタチから感染する可能性のある病原菌は、サルモネラ菌・SARS・SFTS・ノミリホルムレンサ桿菌・レプトスピラ・ペスト・ハンタウイルス・狂犬病などあります。中には非常に危険なウイルスもあります。

これらのウイルスについてそれぞれご紹介いたします。現在イタチ被害に遭われている場合は慎重にご検討いただいたうえで駆除を行いましょう。

サルモネラ菌

サルモネラ菌は、イタチが保有する病原菌の一種です。チフス菌もその仲間ですが、チフス菌を除いたサルモネラ属の菌からの感染症を総じて食中毒性サルモネラと呼んでいます。その名のとおり食中毒の原因になる細菌です。

毎年100~130件、2,500~2,700名ほどの患者が報告されています。致死率の高い病気ではありません。ただし、子どもやお年寄りなどが感染すれば重症化する可能性は高いため注意しましょう。

予防薬のようなものはないため、食材の十分な加熱などで防ぐしかありません。また、イタチが徘徊した畑で取れた食材はサルモネラ菌が付着している可能性があるためしっかり火を通さなければ感染につながる場合もあります。

SARS症

SARSは中国に生息するイタチが感染していることが2003年に報告されました。その後、日本にチョウセンイタチが九州に持ち込まれ、現在では関東まで生息エリアを広げています。

潜伏期間は平均で5日で発熱や筋肉痛などといったインフルエンザに似た症状が発症します。現在では治療薬が開発され80%の感染者が軽い投薬で回復し、軽い感染の場合は無症状で回復することもあります。ただし20%は呼吸器官に異常が起こりARDS(急性呼吸窮迫症候群)へと悪化し集中治療を必要となる場合がある。状況によっては死に至ることもありますので早期に病院にかかるようにしましょう。

STFSウイルス

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)2011年に初めて中国で確認されたウイルスです。中国に生息するマダニに噛まれることで感染するとされており日本に持ち込まれたチョウセンイタチに付着して日本でも被害が出ています。2012年に初めての感染者が報告され西日本を中心に感染を広げてます。

噛まれた場合は、6日~2週間ほどの潜伏状態を経て、発熱や消化器官に悪影響が及び6%~30%の確率で死亡に至るとても危険なウイルスです。マダニは冬以外は基本的に活動が活発でイタチ以外に公園の草むらに生息している場合もあるため近年では注意が必要となってきてます。

モニリホルムレンサ桿菌

モニリホルムレンサ桿菌はドブネズミとクマネズミの口内に常在しているといわれており、噛まれることで感染するウイルスです。鼠咬症の原因菌としてしられており、ネズミはもちろんネズミを捕食する動物から感染することがある。発症すると咬まれた傷口はただれたよう(潰瘍)になり、付近に発疹が出ます。合わせて39度ほどの発熱があり、頭痛や寒気、震えといった症状が出ます。熱は数日でいったん下がりますが、ふたたび発熱し、これを数回繰り返すという経過をたどります。

レプトスピラ症

イタチの排泄物に含まれているレプトスピラ菌が、水や土壌を経て感染する病気です。

特に重症なものはワイル病と呼ばれ、感染者の一割程度いるとされます。日本では、1970 年代前半まで年間50 名以上の死亡例が報告されていましたが、近年は減少しています。ですが、沖縄県では現在でも散発的に流行することがあります

レプトスピラ症は人間だけでなく家畜やペットにも感染する人獣共通感染症のひとつです。犬やハムスターが感染すると急激に症状が現れ死亡してしまいます。ワクチンが開発されていますが、菌のタイプによっては対応しないこともあるため、完全な予防法には至っていません。

ペスト

ペストは、ネズミの媒介する代表的な感染病でそれをイタチが捕食することで感染することもあります。

感染したネズミやイタチの血を吸ったノミが人間を刺すことで感染します。14世紀のヨーロッパで大流行し、当時の人口の三割が失われたと言われています。現代では衛生環境の改善で感染数も減り、日本では1926年を最後に患者は報告されていません。それでも、海外ではいまだ感染例があります

予防薬やよく効く薬もできていますが、早期に治療がされないと致死率は高い危険な病気ではあります。ペストには腺ペスト、肺ペスト、敗血症型ペスト、皮膚ペストなどの種類があり、中でも危険度が高いのは肺ペストで、適切な治療が行われないと2~3日で呼吸困難で死亡します。

ハンタウイルス

ハンタウイルスは大変危険なウイルスで重度の場合、3時間以内に死亡した症例があるほど強力なウイルス。ハンタウイルスが原因の病気は、長らく世界中で原因不明の風土病・奇病として扱われてきました。

腎症候性出血熱はハンタウイルスが原因の病気で、イタチの排泄物を通じて感染します。1931年に中国で発見され、現在も中国・韓国を中心にみられますが、ヨーロッパでも例があります。日本では1960年頃から約10年間にわたり大阪で流行しました。

症状は発熱、頭痛、腎不全、皮下および臓器における出血などですが、今のところワクチンをはじめ有効な治療法が確立されていません。この、はっきりした治療法がないということが、ハンタウイルスの危険な点だと言えます。 そのため、対症療法にならざるをえず、腎不全の症状が重い場合は人工透析が必要になります。

狂犬病

イタチに噛まれることや傷口・目や口などの粘膜を舐められることで感染する場合もある。感染すると1か月~3か月の潜伏期間が多いが場合によっては1年以上の潜伏期間があったという前例があり謎の多い病気です。

自我を失うほど強烈な発熱、頭痛、嘔吐、筋肉の緊張や痙攣が起こる。極度に強力な症状がでるため錯乱・幻覚・発狂をしほぼ100%の確率で死に至る非常に危険なウイルス。

治療法は現状なく、予防としてはペットには予防接種を受けさせることはできますが、野生動物に対しては近づかないこと以外に対策方法はありません。

最後に

日本には二ホンイタチやチョウセンイタチが生息しており、チョウセンイタチが急激に繁殖し分布を広げてます。中国から持ち込まれた様々な病原菌を運び込んでいるため天井裏や近隣で出没することがある場合は駆除をご検討いただくことをお勧めします。

参照(国立感染症研究所・東京都感染症情報センター)

地域別駆除実績

関西エリア

関東エリア

東海エリア