てんとう虫の種類と見分け方:害虫と益虫、駆除と予防の完全ガイド
てんとう虫は害虫(テントウムシダマシ)と益虫(肉食性・菌食性)の両方が存在し、見分け方が重要です。害虫は早急に駆除が必要で、益虫はアブラムシや病原菌を駆除するため活用できます。家庭菜園では定期観察や防虫ネットで被害を予防し、自然農薬や環境改善を併用することが効果的です。
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はじめに
「家庭菜園で野菜にてんとう虫がついていた。これって害虫なのか、益虫なのか?」と悩んだ経験はありませんか?てんとう虫は一般的に可愛らしいイメージがありますが、実際には作物を食い荒らす害虫も存在します。一方で、農作物に害を与えるアブラムシを食べる益虫としてのてんとう虫も存在します。
実はてんとう虫は以下の3種類に分けられます:
- 草食性(害虫)
- 肉食性(益虫)
- 菌食性(益虫)
害虫の場合は早急に駆除が必要ですが、益虫であれば大切にしたいところです。このガイドでは、てんとう虫が害虫か益虫かを見分けるポイント、害虫だった場合の具体的な駆除方法、さらには被害を未然に防ぐ予防策について、詳しく解説します。
てんとう虫の種類と特徴
草食性(害虫)てんとう虫:テントウムシダマシ
害虫に分類される草食性てんとう虫は、一般に「テントウムシダマシ」と呼ばれています。この種は、家庭菜園や農業において最も注意すべき害虫です。彼らはナス科やウリ科の作物を中心に食害し、葉を食べ尽くしてしまいます。
主な種類と特徴
- ニジュウヤホシテントウ
- 特徴:体長6~7mm、オレンジ色の体に28個の斑紋がある。
- 地域:関東以南、暖かい地域。
- 活動期間:5月~10月。
- 繁殖力:年2回繁殖するため注意が必要。
- オオニジュウヤホシテントウ
- 特徴:ニジュウヤホシテントウよりも一回り大きく、体長8mmほど。
- 地域:北海道や東北など寒冷地。
- 活動期間:5月~9月。
- 繁殖力:年1回繁殖。駆除しやすい。
- その他の種類
- インゲンテントウ、トホシテントウ、ルイヨウマダラテントウ。これらも同様に葉を食害する害虫。
主な被害作物
以下のような作物が被害を受けやすいです。
- ナス、ジャガイモ、トマト、ミニトマト
- キュウリ、カボチャ、ハクサイ
- シシトウ、ピーマン
被害は葉が透明になるほど食べ尽くされ、最終的に葉脈だけが残ることもあります。
肉食性(益虫)てんとう虫
肉食性のてんとう虫は、農業にとって非常にありがたい存在です。彼らは植物を害するアブラムシを食べてくれます。体が光沢のあるツヤツヤした外見が特徴で、農業では「天敵昆虫」として重宝されています。
主な種類と特徴
- ナナホシテントウ
- 特徴:赤い体に7つの黒い斑紋がある。
- 活動期間:3月~11月。
- 全国分布:北海道から沖縄まで広く生息。
- ナミテントウ
- 特徴:体の色や模様が個体によって異なる。黒や赤、斑紋の有無など多種多様。
- 活動期間:4月~11月。
- 特長:繁殖力が高く、全国で最も多く見られる。
肉食性てんとう虫のメリット
- アブラムシの駆除:1匹で1日に50匹以上のアブラムシを捕食。
- 農薬代の削減:無農薬栽培をサポート。
菌食性(益虫)てんとう虫
菌食性のてんとう虫は、植物の病気を引き起こす「うどんこ病菌」などを食べてくれる益虫です。
主な種類と特徴
- キイロテントウ
- 特徴:黄色い体と白い胸部。
- 活動地域:暖かい地域(四国・九州・沖縄)。
- 活動期間:4月~10月。
- シロホシテントウ
- 特徴:ニジュウヤホシテントウよりも一回り大きく、体長約8mm。白い斑点が特徴的。
- 地域:主に北海道や東北地方などの寒冷地に生息。
- 活動期間:5月~9月。
- 繁殖力:年1回繁殖。繁殖力が低く、駆除が容易
これらのてんとう虫は、自然な病害虫防除として非常に有用です。
テントウムシダマシの見分け方
成虫の場合
- 害虫(テントウムシダマシ)
光沢がなく、全体が短い毛で覆われている。触角が長い。
- 益虫(肉食性・菌食性)
光沢があり、ツヤツヤとした体。
幼虫の場合
- 害虫:体にトゲのような毛が多数。
- 益虫:毛がなく、滑らかな体。
卵の場合
- 害虫:卵に毛が生えており、葉裏にまとまって産み付けられる。
- 益虫:毛は生えていない。
テントウムシダマシの駆除方法
方法1:手作業で駆除する
最も安全で確実な方法は手作業です。以下の手順を参考にしてください。
- 成虫や幼虫を割り箸やピンセットで取り除く。
- 卵がついた葉を切り取り、廃棄する。
- 落下しやすい害虫は、株を揺らして網で受ける。
方法2:自然農薬を使う
化学薬品を使いたくない場合、自然農薬を利用する方法もあります。
- 木酢液:木炭から抽出される液体。匂いで害虫を遠ざける。
- トウガラシスプレー:トウガラシを煮出した液をスプレー。
- タバスコスプレー:タバスコを水で薄めて散布。
方法3:殺虫剤を使用する
市販の殺虫剤を使用する場合は、作物に適したものを選ぶことが重要です。
- おすすめ商品:
- 使用時の注意:
- 指定された濃度を守る。
- 成虫や幼虫が確認できる春~秋に散布。
テントウムシダマシの予防方法
1. 防虫ネットを張る
野菜を防虫ネットで覆うことで、害虫の侵入を防ぎます。特にナス科やウリ科の作物を栽培する場合に効果的です。
2. 栽培環境を整える
風通しを良くし、葉の密度を適度に保つことで、害虫の発生を抑えます。密植を避け、こまめに葉を剪定することを心がけましょう。
3. こまめに観察する
葉裏や株元に卵や幼虫がいないかを定期的にチェックします。発見次第、取り除くことで被害を未然に防げます。
農業でのてんとう虫の活用方法
飛ばないてんとう虫の利用
近年、飛ばないてんとう虫が開発されています。これにより、狭い範囲でのアブラムシ駆除が可能になり、農作物を守る効率が向上しました。
自然生態系の利用
てんとう虫が住みやすい環境を作ることで、自然に益虫を呼び込むことができます。例えば、花を植えることで肉食性てんとう虫の誘引効果が期待できます。
まとめ
てんとう虫は一見同じように見えても、害虫と益虫の両方が存在します。特に草食性のテントウムシダマシは、野菜に深刻な被害を与える害虫です。一方で、肉食性や菌食性のてんとう虫は、無農薬栽培に役立つ重要な存在です。
農作物を守るためには、てんとう虫の見分け方を理解し、必要に応じて駆除や予防を行うことが大切です。また、益虫を活用することで、環境に優しい農業を実現できます。
あなたの家庭菜園や農作物管理の一助となることを願っています。
この記事の作成者
害獣駆除センター
害獣駆除の専門家
元田 ケーシー
害獣駆除センターの害獣駆除の研究員です。害獣の生態や効果的な忌避方法を研究しています。記事で執筆している内容は、自社で試験調査した内容や、国内と海外の学術論文を基に情報提供しています。