ヨコバイがもたらす被害とは?効果的な防除策について徹底解説



ヨコバイによる被害

ヨコバイは農業における重大な害虫として知られており農作物に多大な被害をもたらすことがあります。

本記事ではまず、ヨコバイの生態や特徴、駆除方法や防虫対策について解説します。

ヨコバイは一見目立たない小さな虫ですが農業における被害やその対策について知識を持つことが効果的な害虫管理に繋がる一歩となります。


ヨコバイはカメムシ目・ヨコバイ科に分類される昆虫で、セミと同じセミ型下目に分類されセミを小さくしたような姿をしています。

ヨコバイの名前の由来は歩くときに横にズレながら移動する様子から来ています。

卵→幼虫→成虫の階段を経る完全変態ではなく、不完全変態型で成虫になると飛躍能力を獲得し広範囲にわたって分散する能力を持っています。


また、年に数回の世代交代を繰り返し、1回の産卵で数十個の卵を産み数週間から数ヶ月で成虫になります。ヨコバイは世界中に広く分布し温暖な気候を好んで活動します。

梅雨明けから秋にかけての時期に活動が活発になりこの時期に大量発生が見られることが多いです。


ヨコバイは湿度が高く風通しの悪い環境を好む傾向があり作物の茎や葉に付着して汁を吸います。特に密集した作物や木々の間などが彼らにとって絶好の生息環境となります。

加えて、ヨコバイは日没後に外灯や部屋の明かりに引き寄せられる習性があります。


ヨコバイの特徴

ヨコバイの体長は2〜10ミリメートル程度あり比較的小型の昆虫です。

色は緑、黄色、茶色、黒色など種類によって多岐にわたりますが、一般的に周囲の植物と同化するような地味な色をしていることが多いため肉眼での発見は困難です。


刺吸型口器を持っておりこれを植物に刺して内部の汁を吸うことで栄養を摂取します。これにより植物が傷つき成長が阻害されるほか、場合によっては枯死することもあります。


セミと類似する特徴を持つヨコバイですがセミとは顕著な違いがあります。

まず、単眼の個数の違いです。第一に、セミはバランスを保つために単眼が3つあるのに対しヨコバイは2つの単眼を持っています。

第二に、セミは発音器官を使って大きな音を出すのに対し、ヨコバイは発音機能も持っていますが人間の耳では聞き取れない音を微弱に出します。


ヨコバイの種類

ヨコバイは全世界に分布していて約2万種あるとされていますが、まだ学名のついていない種が多数あると言われています。日本に生息しているもので約550種が確認されていますが、詳しくはまだ解明されていません。今回は見た目に特徴がある種を5種ほど紹介します。


ツマグロオオヨコバイ ツマグロオオヨコバイ,ヨコバイ,バナナムシの写真素材

別名バナナムシと呼ばれる鮮やかな黄緑色の体色が特徴的。

体長は約13mmほどで、頭部に黒い楕円形の斑紋、前胸背に正三角形に配置された3つの黒斑、小楯板中央に丸い黒斑がある。

前翅は橙黄色で先端に青黒い帯模様があり、後翅は黒褐色で半透明である。


体長約3mmほどで全体が淡緑の体色が特徴的。

成虫で越冬し、年5~8回発生する。特に7月と9月に多発しやすい。

茶芽の若い葉や幼梢などを刺して汁を吸うのが特徴。


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体長約4mmほどで全体が橙赤の体色が特徴的。

頭部・胸部は橙赤色で暗褐色の斑紋があり、翅は灰白色。

出現期は10月〜11月で秋にカンキツ類の果実に集まるのが特徴。


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体長約約6mmほどで黒褐色~黄褐色の網目模様が特徴的。

活動期は7~11月で、広食性で広葉樹に付く為リンゴの害虫ともされている。

夜間は街灯にも飛来することがある。


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体長約4~6mmほどで頭頂の黒色円紋が特徴的。

体色は黄褐色で前翅は半透明で腹部が透けて見えるのも特徴。

植物の汁を餌にし日本全土に分布する。


農業における害虫としての被害

ヨコバイは農業において重大な被害をもたらす害虫として位置付けられています。なぜなら彼らの吸汁活動は農作物に多大な被害をもたらすためです。

ヨコバイの被害が多いものとしては、バラ科やカンキツ系、クワ、ブドウ、キイチゴ、リンゴ、カキ、キウイ、ジャガイモなどが挙げられます。植物の葉裏で汁を吸う害虫で農作物に被害を与えることが多く、農家にとっては厄介な虫とされています。

特にヨコバイが植物に与える影響として吸汁による直接的被害病原菌の媒介の2つの側面があります。


ヨコバイが植物の葉や茎に口器を差し込み、内部の栄養分を吸い取ることで、植物は栄養不足に陥り、生育不良を引き起こします。この影響により、葉が枯れたり、変色したりすることがあり、最悪の場合は植物全体が枯死することもあります。

また、ヨコバイによる吸汁は、葉の表面に斑点状の傷を残すことがあり、これが広がると作物の収穫量や品質に悪影響を与えます。

病原菌の媒介

ヨコバイにはウイルスや細菌などを媒介する種が存在しそれにより作物に深刻な病害を引き起こすことがあります。

例えばツマグロヨコバイによって媒介されるウイルスが原因で引き起こる病害に「イネ萎縮病」という病害があります。イネ萎縮病に感染すると出穂しない場合や稔実不良が発生する場合が多く、この病害は経卵伝染するため一度感染すると被害が長期化しがちです。



ヨコバイに刺されてしまったら?

ヨコバイは基本的に人を刺すことはありませんが、本来植物吸汁性であるためその習性を人の皮膚上でたまたま発揮することがあります。

吸血性はないものの、口針挿入時に唾液も注入する仕組みであるため、人によってはかゆみを発症する場合や黒いアザになったりする場合もあるため注意が必要です。

万が一刺された時の対処法を簡単に説明します。

手を洗う

患部を清潔に保つ

症状が出た場合は、まず患部を流水でしっかりと洗い流し、石鹸で優しく洗って清潔に保ちましょう。

冷やす

冷やす

かゆみや腫れがある場合は、冷たいタオルや保冷剤で患部を冷やすと症状が軽減することがあります。

抗ヒスタミン剤

抗ヒスタミン剤の使用

市販のかゆみ止めや抗ヒスタミン軟膏を使って、かゆみを抑えることができます。

医師の診察

症状がひどい場合は病院へ

もし症状が治らなかったり広がったりする場合は、医師の診察を受けることをお勧めします。


ヨコバイの防除対策

ヨコバイによる被害を防ぐためには、適切な防虫対策を講じることが重要です。以下では、ヨコバイに対する効果的な防除方法を紹介します。防除対策を行うことで農作物の成長が保たれ、収穫量も安定させることができます。また病害の拡大を防ぐことで、品質が向上し、経済的なロスも軽減されます。今回は防除対策として物理的・生物的・科学的の3つの観点から解説していきます。


物理的防除

防虫ネットの設置

作物や植物の周りに防虫ネットを張ることが効果的です。飛躍能力のあるヨコバイは成虫になると広範囲にわたって移動するためネットで物理的に侵入を防ぐことが必要です。通常、ポリエステルやポリプロピレンなどの軽量で耐久性のある素材が使用され、ヨコバイのような小さな害虫を防ぐには非常に細かい目(約0.4~1ミリ程度)が必要です。目が細かければ、より多くの害虫を防げますが、通気性や光の透過率が低下する場合があります。


庭や畑の整備

ヨコバイは湿度の高い場所を好むため、庭や畑の適切な整備が重要です。密集した植栽は湿気が溜まりやすく、ヨコバイが繁殖しやすくなるため、適度な剪定や雑草の管理を行い、植物が過密にならないように風通しの良い環境を作ることで繁殖を抑制することが重要になります。


外灯や家の明かりの管理

ヨコバイは光に引き寄せられる性質を持つため、外灯や屋外の照明をこまめに消すことで、害虫が家屋や畑に集まるのを防ぐことができます。特に日没後に光を発する場所に集まりやすいので、必要のない照明を避けることが大切です。


生物的防除

天敵の利用

ヨコバイを捕食する天敵を利用する生物的防除も有効な手段です。自然界に存在する天敵を積極的に利用することで、ヨコバイの個体数を自然に抑制することができます。

クモ
クモ

クモはヨコバイの幼虫や成虫を捕食する代表的な天敵です。特に、巣を張って待ち伏せ型のクモが、飛翔するヨコバイを捕まえることがあります。クモの数を増やすことで、ヨコバイの個体数を抑制できます。

アリ
アリ

ヨコバイの幼虫や卵は、アリの食料源となることがあります。アリは地上や植物の茎などを活発に移動しながらヨコバイの卵や幼虫を見つけて捕食します。

寄生バチ
寄生バチ

寄生バチは、ヨコバイの体内に卵を産み付け、その幼虫がヨコバイの体内で成長し、最終的にヨコバイを殺します。寄生バチは生物的防除の重要な役割を果たします。例:ヒメコバチ科やタマゴコバチ科の寄生バチがヨコバイに寄生することが知られています。

鳥類
鳥類

小型のスズメ類やツバメなどの鳥は、昆虫食性であり、飛翔中のヨコバイを捕食します。特に農地や庭に生息する鳥類は、ヨコバイの自然抑制に貢献します。

カマキリ
カマキリ

カマキリは、ヨコバイを含むさまざまな昆虫を捕食します。カマキリは茎や葉の上で待ち伏せし、近づいてきたヨコバイを鋭い前脚で捕まえて食べます。

テントウムシ
テントウムシ

テントウムシの一部の種は、アブラムシの捕食者として知られていますが、ヨコバイの幼虫や卵も捕食することがあります。特に、農業害虫を自然に抑制するために役立つ天敵です。

ナナホシキンカメムシ
ナナホシキンカメムシ

ナナホシキンカメムシなどの捕食性カメムシは、ヨコバイの幼虫や成虫を捕食します。これらのカメムシは、農地でのヨコバイの個体数調整に貢献します。

これらの天敵を活用することで、農薬に依存せずにヨコバイの個体数を抑えることが可能です。天敵を保護し、生態系のバランスを保ちながらヨコバイの被害を抑えることが、環境に優しい防除方法として推奨されています。


科学的防除

殺虫剤・防虫剤の使用

ヨコバイの発生は、8月上旬から9月上旬、および9月下旬から10月中旬にピークを迎えるため、この時期には集中して防除対策を行う必要があります。ヨコバイを駆除するには、幼虫を見かけたら成虫になって大量発生する前に殺虫剤や農薬を使用します。ただし、薬剤によってはヨコバイの天敵となる虫たちも駆除してしまう可能性があるため、殺虫剤を使用する際には、過度の散布を避け、作物の安全を守るために適切な濃度やタイミングでの使用が求められます。


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「虫コロリアース」は、クモやムカデなど様々な不快害虫これ1本で駆除できる2WAYノズルの殺虫剤です。
速効性と致死効果にすぐれ、イヤな虫をしっかり駆除します。まちぶせ効果は約1ヵ月持続します。
ヨコバイが発生したら直接吹きかけましょう。

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「虫こないアース 玄関灯・外壁に 450mL」は、屋外の虫対策に効果的なスプレータイプの殺虫剤です。
玄関灯や外壁に噴霧することで、虫の寄り付きや侵入を防ぎます。
ヨコバイは外灯の光に集まる習性があるため事前に吹きかけておくことで大量発生を防ぎます。

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スミチオン乳剤は、多用途の殺虫剤で、様々な害虫の駆除に効果を発揮します。
特に、農作物や庭木、花などの病害虫防除に使用され、幅広い作物に対応しています。
適切な希釈倍率で使用することで、安全に効果的に害虫を駆除できます。

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ハチハチフロアブル(劇物)

ハチハチフロアブルは、広範囲の害虫に対して効果を発揮する殺虫剤です。
農作物や庭木、観葉植物などの害虫駆除に使用され、多用途に対応しています。
効果的な害虫駆除が可能で、適切な使用方法で長期間の防除が期待できます。
※劇物のため用法用量を守り使用しましょう。

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それでもどうにもできない時は…

駆除業者に依頼しよう!

業者に依頼する場合の費用は敷地や被害の程度によりますが一般的には、

20,000円~50,000円 くらいが相場です。

広範囲にわたる駆除や繰り返しの対策が必要な場合、費用がさらに高くなることがあります。


業者に依頼する際の注意点

・事前に見積もりを確認する

施工内容や費用についての詳細な見積もりをもらいましょう。追加費用が発生する可能性がある場合は、事前に確認しておくと安心です。

・駆除方法を確認する

業者がどのような方法でヨコバイを駆除するかを事前に確認しましょう。使用する薬剤の種類や散布方法、効果の持続期間などを詳しく聞いておくことが大切です。

・保証内容を確認する

駆除後の保証期間や再発時の対応について、契約書に記載があるか確認しましょう。保証がある場合、再発時の追加費用が無料や割引になることがあります。

・業者の信頼性をチェックする

駆除業者の実績や評判をインターネットの口コミやレビューで確認することが重要です。また、害虫駆除の資格や認可を持っている業者かもチェックしましょう。

・駆除後のアフターサービスを確認する

駆除後のメンテナンスや点検サービスがあるかどうかを確認します。定期的な点検やフォローアップがあると、再発防止に役立ちます。

・薬剤の安全性を確認する

使用する薬剤が人体やペット、環境に与える影響について、業者に詳しく説明を求めましょう。特に小さな子供やペットがいる場合は、安全な薬剤を使うかどうかの確認が必要です。

・施工の範囲と対応期間を確認する

駆除作業がどの範囲まで行われるのか、また施工にかかる期間についても事前に確認します。複数回にわたる駆除が必要な場合、そのスケジュールを確認しましょう。


駆除が難しい場合はプロに依頼しよう

予防しても全く改善されない…

ヨコバイが大量発生しないか心配…


そんな時は害虫駆除のプロ専門業者に依頼して駆除してもらいましょう。

プロの業者に任せれば、ヨコバイの発生理由を特定し、専門の道具をしてヨコバイのみ確実に駆除・予防することが可能です。


ホームレスキュー株式会社は皆さまが安心して生活できるよう、プロの害虫駆除の職人が確実な駆除・予防いたします。
駆除依頼を希望の方はお電話もしくはメールにてお気軽にご相談お待ちしております。



この記事の作成者
害獣駆除の専門家 ケーシーさん

害獣駆除センター
害獣駆除の専門家
元田 ケーシー


害獣駆除センターの害獣駆除の研究員です。害獣の生態や効果的な忌避方法を研究しています。記事で執筆している内容は、自社で試験調査した内容や、国内と海外の学術論文を基に情報提供しています。

地域別駆除実績

関西エリア

関東エリア

東海エリア