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キクイムシ(木喰い虫)は木材に住みつき、木材を食べる昆虫です。非常に小さい虫ですが私たちの生活に大きな影響を与える非常に危険な害虫です。
もし家具や床、壁に穴が空いていて、粉末状の粉が落ちていたらそれはキクイムシのせいかもしれません。穴に気づかずに放置しておくと家具や家がボロボロになってしまい、大きな損失になってしまいます。
家や家具を守るためにはキクイムシについて理解し、適切な予防対策方法を知っておくことが非常に重要ですので、本記事ではキクイムシの特徴や生態から対策方法まで、必要な知識を解説していきます。
キクイムシの成虫の大きさは3〜8mm程度と非常に小さいです。成虫の期間は10日と短く、生涯で50個ほどの卵を産卵します。
幼虫も3〜5mmと小さく、遠目から見ればゴミかと思うようなサイズです。10ヶ月の間、木の中で木を食害しながら生活をします。木を食べるのはこの幼虫で、成虫は木を食べることはありません。
キクイムシの体色は茶褐色や黒褐色のため、木材の色とよく似ており、木の表面に付着していても目立たないため発見するのはとても難しいです。
日本でよく見られるキクイムシは主に以下の4種類です。この記事では最も一般的な「ヒラタキクイムシ」について紹介していますが、最近では外来種である「アフリカヒラタキクイムシ」も全国的に発生が確認されており、食害の程度が激しいため注意が必要です。
それぞれ好む木材が異なるため、出現したキクイムシがどの種類なのか特定しましょう。
・ヒラタキクイムシ
日本国内で最も一般的な種類です。乾燥した木材を好み、新築やリフォーム後の建材にも容易に侵入します。
・アフリカヒラタキクイムシ
海外からの輸入木材に付着して国内に持ち込まれるケースが多く、建材として使用される際に問題となります。
・ナラヒラタキクイムシ
ナラ材を主に好むため、特にナラ材を多用している家庭や家具で被害が報告されています。
・ケヤキキクイムシ
ケヤキなどの広葉樹を好んで食害します。ケヤキ製の家具を所有する方は特に注意が必要です。
成虫は通常4~8月に出現し、特に5~7月に最も多くみられます。冬でも暖房により成長が促進され、2~3月にも出現することがあります。幼虫の食害活動は1年中行われるため、冬の間も注意が必要です。
夜行性のため、昼間は木材の内部に隠れており、夜になると飛び回り活動を開始します。メスは夜に産卵を行います。
キクイムシの一生は、卵、幼虫、さなぎ、成虫という4つのステージに分かれます。キクイムシの成虫は主に春から夏にかけて活動します。特に5月から7月の期間は、成虫が羽化する時期なのでこの時期によく姿が見られます。成虫が活動する4月から8月の間に成虫が穴を開け、卵を産みつけるので、成虫の活動時期はその後の被害を最小限に抑えるためにも細心の注意が必要です。
卵は10日から20日程で孵り、その後、10ヶ月という長い期間木の中で過ごします。その間に木材を食害するため、ほぼ1年中、食害の被害が発生する可能性があります。幼虫期間を終えるとさなぎとなり、穴から脱出して成虫になります。
キクイムシ(木喰い虫)は名前の通り木を喰う害虫です。
家具や床に1mmほどの穴を開け、その中で幼虫を生みます。成虫は木を食害しませんが幼虫が木を食害します。小さな穴が空いているだけで被害はそんなになさそうに見えますが、実際は木材の内部はもうボロボロになってしまっている場合があり、非常に深刻な事態になっていることもあります。被害が拡大する前に早急に駆除しましょう。
早急に駆除するためにキクイムシが発生しているサインを見逃さないことが重要ですので次で紹介します。
【キクイムシがいる可能性があるサイン】
・床や家具に細かい木くずが落ちている
・1mm程度の穴が開いている
・「ガリガリ」と木を削る音が聞こえる
床や木製の家具に細かい木くずが落ちている場合は、キクイムシが木材を食害している可能性が高いです。木くずは幼虫が木材を食べた際に出てくるもので、フラスと呼ばれます。キクイムシが木材に開けた穴も近くにあるのでそちらも確認しましょう
木材の表面に1mm程度の小さな穴が複数開いている場合、キクイムシが開けた穴の可能性が高いです。この穴は、成虫になったキクイムシが木材の内部から外に出る際に開けるもので、表面上の見た目では大したことはなさそうですが、内部ではより大きな被害が進行していることがあります。
幼虫が木材を食べるとき「ガリガリ」という木材を削る音を出します。音は非常に小さい音は非常に小さいですが近くで耳を澄まして聞いてみると音が聞こえます。まだ被害が大きくない可能性もありますので疑わしい場合はすぐに駆除しましょう。
キクイムシは、でんぷん質が豊富な広葉樹を特に好みます。具体的には、ラワン材(熱帯の木材)、ナラ、ケヤキなどの広葉樹が狙われやすく、これらの木材を使用した家具や建材は注意が必要です。
また、新築やリフォーム後の木材は、キクイムシの被害を受けやすいです。古い木材よりも新しい木材の方が含んでいる澱粉の量が多いため、新築3年以内の木材は被害を受けやすく、全体の被害の75%を占めると言われています。そのため、近くでリフォームや新築工事があった場合、家に侵入してくる可能性が高まるので窓の隙間などに注意しましょう。
防虫処理が施されていない木材は、キクイムシの標的となりやすいです。そのため、家具を買う際やリフォームの際には、防虫処理が施された木材を使用していることを確認しましょう。
キクイムシは、他の木材を食害する虫と混同されやすいですが、それぞれ異なる特徴や生態を持っています。ここでは、特に混同しやすいシロアリやカミキリムシとの違いについて解説します。
シロアリも木材を食害する害虫として知られていますが、彼らは集団で活動し、より大規模な被害をもたらします。シロアリの食害は木材の内部で広範囲に及び、木をウエハース状のようにしてしまいます。
特徴としては木くずを消化できるためフロスが出ないのと、虫孔がありません。
サインが見えにくいため、気がついた時には家に深刻なダメージがあり、取り返しがつかなくなってしまうこともあります。
カミキリムシも木材を食害する虫です。単体で行動しており、体が大きいのが特徴です。
カミキリムシの幼虫が木材を食べますが、虫孔が2cm程度とキクイムシに比べ巨大な穴を開けます。モミジ、ヤナギ、果樹類の木を好むので家の中ではなく、庭の木によく被害が見られます。放置しておくと倒木の可能性もあるので見つけたらすぐに駆除しましょう
フロスも特徴的で、キクイムシのように粉状ではなく、糞と混ざり合いかりんとうのような形状をしています。木の根元に落ちており、わかりやすい見た目大きさなので、カミキリムシが好む木を庭に植えている方は、庭の木の根元を一度確認してみましょう
キクイムシの駆除は、早期発見が鍵となります。症状が進んでしまうと、専門業者でも完全に駆除するのが非常に難しく、自分で駆除するのは至難の業です。
成虫は簡単に駆除することが可能ですが、幼虫は木の中にいるため殺虫剤の効果が発揮するのに時間がかかるため、自分で駆除しようとする場合、殺虫剤を週に1回のペースで散布し続けて、一年以上根気よく対応する必要があります。
ですので、自分で駆除するのではなく、害虫駆除の専門業者にお願いするのがおすすめですが自分で駆除する場合の方法を紹介します。
【用意するもの】
・エアゾール式殺虫剤
・手袋
・マスク
・爪楊枝
1.事前準備
まずは、被害を受けている箇所を確認し、効果のある殺虫剤を準備しましょう。殺虫剤本体に記載されている指示をしっかりと読み、使用前にマスクと手袋を着用してから作業を開始しましょう。
2.虫孔に殺虫剤を注入
木材に複数の穴が空いていることを確認したら、その部分に直接エアゾール式殺虫剤を注入します。殺虫剤は穴の奥深くまで届くように、ノズルをしっかりと差し込んで噴射すること、周辺の木の表面部分にも噴射することが重要です。
3.繰り返し行う
この作業を1時間おきに2〜3回繰り返し行うことが推奨されます。特に被害が広がっている場所は回数を増やすとより効果を発揮します。
4.虫孔を塞ぐ
最後に、殺虫剤を注入した穴を爪楊枝などで塞ぎ、キクイムシが再度侵入するのを防ぎます。この作業をしないと、再びキクイムシが産卵するために侵入し、被害が拡大、再発する可能性が高まります。
この作業を根気よく続けることで効果を発揮しますが、もし不安な場合は害虫駆除の専門業者にお願いしましょう。
キクイムシコロリ −吉田製油所
エバーウッドP-400 業務用−住化エンビロサイエンス株式会社
木材の表面全体にエアゾール殺虫剤を噴霧し、乾いた布で塗り広げます。幼虫には効果はありませんが、近寄らなくなるためメスの産卵を防ぐことができるので非常におすすめです。特に、新築やリフォーム後の木材にはやっておくといいでしょう。
殺虫剤を使用したくない家具などには、木材の表面をニスや塗料でコーティングしましょう。木材表面の小さな隙間からの侵入を防ぎ、キクイムシの産卵を防ぐ効果があります。
長期間にわたって木材を保護することが可能するのでおすすめです。
新築やリフォーム時、家具を購入する際は、あらかじめ防虫処理が施された木材を使用しているものを選ぶことが重要です。
防虫処理された木材は、キクイムシが侵入しにくく、長期間にわたり被害を防ぐことができます。
近隣でリフォームや建築作業が行われている場合は、キクイムシが外から侵入する可能性があります。窓や通気口をしっかりと閉じておくことが重要です。閉じても隙間ができてしまう場合は隙間埋めテープで物理的に隙間をなくすといいでしょう。
また、木材を屋外に保管する際には、防虫ネットやカバーを使用しておくことで、キクイムシの侵入を防ぐことができます。
キクイムシの被害が広範囲に及ぶ場合や、自分で対処しきれない場合は、専門業者に依頼することが最も確実です。ここでは、専門業者に依頼する際の費用や作業内容について詳しく説明します。
気がつかないうちに被害が進行してしまうことがあるキクイムシの被害。どのくらいの被害の進行度から専門業者にお願いすればいいのでしょうか
キクイムシの成虫は10日程度しか生きれず、幼虫も全てが成虫になれるとは限りません。そのため1匹だけみたり、穴が一個だけ空いているような状況ですと、自分で予防駆除を行なった方がいいでしょう。
・5匹以上の成虫を見かけた
・虫孔が10個以上ある
・新しいフラスの山が10〜20個と増え続ける
これらの症状が見られた場合は本格的な駆除が必要になります。
一番大事なのはどれだけ早く対処できるかなので、上記の条件を満たしてなくても、今後被害が拡大することを考慮して専門業者にお願いするのを検討するのもいいでしょう。
被害面積 | 料金相場 |
---|---|
10平米 | 15,000~30,000円 |
キクイムシの駆除にかかる費用は、一般的に10平方メートルあたり約1万5千円から3万円程度が相場です。ただし、被害の範囲が思ったより広かったり、木材の種類、建物の構造によって費用は変動する可能性があります。事前に見積もりを依頼し、どのくらいの費用がかかるのか確認しましょう。
【キクイムシ駆除の作業内容】
1.事前説明
2.被害場所と状況の確認
3.薬品を使用した駆除作業
3.虫孔を塞ぐ作業
4.作業場所の清掃
業者が行う駆除作業は、まず被害状況の調査から始まります。専門的な機材を使用して木材内部の被害を確認し、最適な駆除方法を提案します。その後、専用の殺虫剤や機材を使用して、木材内部にいる徹底的にキクイムシを駆除します。
また、再発防止のための予防策も提案しますので、長期的な予防対策が可能になります。
キクイムシは非常に小さく、一見すると無害に見えるかもしれませんが、実際には木材を食害し、大切な家具や家に深刻な被害をもたらす危険な害虫です。
特に幼虫が木の中で活動するため、被害が進行するまで発見が遅れることが多く、早期の対処が求められます。
本記事では、キクイムシの生態や特徴、駆除方法について詳しく解説しました。キクイムシがもたらす被害を防ぐためには、早期発見と継続的な対策が重要です。
また、被害が大規模になった場合には、自分で対応するのは難しいので、専門業者に駆除をお願いした方がいいでしょう。
この記事で紹介した対策や予防を実践し、大切な家や家具を守りましょう。