コクゾウムシの駆除の仕方って?専門家が解説!!


1. コクゾウムシってどんな虫?

コクゾウムシは、穀物や乾燥食品に寄生し、食害を引き起こす代表的な害虫です。体長は約2~3mmと小さく、目立ちにくい存在ですが、非常に繁殖力が高く、一度発生すると大量発生しやすい特性を持っています。コクゾウムシの体は楕円形で、黒や茶褐色をしており、頭部には特徴的な「口吻(こうふん)」と呼ばれる長い口先があり、この部分を使って穀物の中に穴を開け、卵を産み付けます。

コクゾウムシの幼虫は、米や麦などの穀物の内部で成長し、外見からは発生を確認しにくい場合があります。幼虫は成長とともに穀物を食害し、内部を空洞にしたり粉状にするため、収穫物や貯蔵食品に深刻な被害をもたらします。また、成虫になると飛翔能力を持ち、他の食品や保管場所に素早く移動するため、被害範囲が広がりやすいのも特徴です。


2. コクゾウムシの駆除方法

コクゾウムシを駆除するには、物理的な方法から防虫対策グッズまでさまざまな方法があります。以下に、具体的な駆除方法を紹介します。

2.1 冷凍保存での駆除

コクゾウムシは寒さに非常に弱い性質を持っており、低温環境では繁殖も活動もできません。そのため、穀物や米を冷凍庫に入れることで、卵や幼虫、成虫を効果的に駆除できます。48時間以上冷凍保存することで、すべての段階のコクゾウムシを殺すことができます。家庭で大量の米や穀物を保管する際には、冷凍保存を定期的に行うことが推奨されます。

2.2 熱処理による駆除

コクゾウムシは高温にも弱いため、50℃以上の温度にさらすことで駆除できます。家庭での対策としては、フライパンやオーブンで穀物を加熱処理する方法があります。ただし、加熱処理は穀物の風味や食感に影響を与える可能性があるため、米や小麦を食用として利用する場合には慎重に行う必要があります。また、全体に均等に熱が行き渡るように気をつけることも重要です。

2.3 密閉容器の使用

コクゾウムシの発生を防ぐために最も基本的かつ効果的な方法が、密閉容器での保存です。穀物や乾燥食品は、開封後に密閉できるガラスやプラスチックの容器に移し替えることで、コクゾウムシの侵入を防ぐことができます。特に、湿度の高い環境や、温暖な季節には、食品の保管方法に注意が必要です。袋や箱のまま放置すると、虫が入り込みやすいため、常に密閉容器を使用することが推奨されます。

2.4 防虫シートや防虫剤の活用

市販されている防虫シート防虫剤は、コクゾウムシの発生を防止するアイテムとして有効です。これらの商品は、食品の保管場所に設置することで、コクゾウムシや他の害虫の侵入を防ぐ効果があります。ただし、防虫剤を使用する際には、食品と直接触れないように注意し、使用期限が切れないよう定期的に交換することが大切です。

2.5 掃除と整理整頓

コクゾウムシが一度発生すると、その卵や幼虫が食品の隙間や保管場所に残る可能性があります。そのため、定期的な掃除と整理整頓が不可欠です。特に、穀物が保存されていた場所や、コクゾウムシが発生した周辺は徹底的に清掃する必要があります。掃除機や雑巾を使って、食べかすや穀物の破片、コクゾウムシの死骸を取り除き、再発を防ぎましょう。


3. コクゾウムシ被害

コクゾウムシによる被害は主に穀物の品質低下衛生状態の悪化に繋がります。以下に代表的な被害例を挙げます。

  • 穀物の食害
    コクゾウムシが寄生した穀物は、内部が空洞になり、米粒が砕けたり粉状になることがあります。これにより、食材としての価値が著しく低下し、食べることができなくなることもあります。
  • 衛生的な問題
    コクゾウムシの卵や幼虫、成虫、さらには糞や死骸が食品に混入することで、衛生上のリスクが高まります。これが特に問題となるのは、乾燥食品や調味料などが影響を受け、気づかぬうちに大量に侵食されてしまうケースです。
  • 経済的な損失
    コクゾウムシに侵された穀物は、廃棄せざるを得なくなることが多く、大量の食料が無駄になります。特に、米や小麦など主食となる穀物が影響を受けると、家庭や業務用の貯蔵品に大きな損失が生じます。

4. コクゾウムシ出現場所

コクゾウムシ(穀象虫)の出現場所は、穀物や穀類製品が保存されている場所に関連しています。コクゾウムシは、米や小麦、とうもろこしなどの保存食品に卵を産み付け、幼虫は穀物内部で成長するため、食料品を貯蔵する場所や保管環境が主な発生源となります。ここでは、コクゾウムシの出現しやすい場所について、家庭内や農業施設、商業施設に分けて詳しく説明します。

1. 家庭内でのコクゾウムシの出現場所

家庭内でコクゾウムシが出現する場所は、主に穀物や乾燥食品を保管しているキッチンや貯蔵庫です。コクゾウムシは、小さな隙間や密閉されていない袋を通じて穀物に侵入し、そこで繁殖します。

キッチンの食品棚や食料庫

家庭でコクゾウムシが最も頻繁に見つかるのは、米袋や小麦粉、パスタ、とうもろこし粉などの穀物類を保存している食品棚や食料庫です。特に、通気性のある袋や密閉されていない容器で保存された穀物は、コクゾウムシが侵入しやすくなります。

  • 米袋:コクゾウムシは米が大好物で、特に米の貯蔵が適切でない場合、米袋の中で繁殖しやすくなります。長期間放置された米や、開封後の袋は、特に注意が必要です。
  • 小麦粉やパスタ:小麦製品もコクゾウムシの格好の餌となります。小麦粉やパスタ、クラッカーなどの乾燥食品は、開封後の管理が甘いとコクゾウムシの温床になりやすいです。

乾燥食品の保存場所

穀物以外の乾燥食品、例えばナッツ、乾燥豆、シリアル類などもコクゾウムシの標的となります。これらの食品が貯蔵されるキャビネットや引き出しは、コクゾウムシが発生する場所の一つです。これらの食品が適切に密閉されていない場合、侵入を許してしまいます。

台所の隅や棚の裏側

コクゾウムシは非常に小さな虫で、台所の隙間や棚の裏側、引き出しの中などにも隠れることがあります。こうした場所に穀物のかけらや食品のカスが溜まっていると、コクゾウムシの巣となる場合があります。

2. 農業施設や倉庫での出現場所

コクゾウムシは、家庭以外にも農業施設や倉庫などの大規模な穀物貯蔵場所でしばしば発生します。農場や穀物貯蔵庫では、大量の穀物が長期間保存されるため、コクゾウムシにとっては格好の繁殖場所となります。

穀物サイロ

農業や商業で使用される穀物サイロは、コクゾウムシの主要な発生場所です。サイロは大量の穀物を長期間保存するため、管理が不十分だと虫の侵入や繁殖が起こりやすくなります。特に湿気の管理が適切でない場合、コクゾウムシの増殖が加速します。

穀物倉庫

穀物倉庫もまた、コクゾウムシが発生しやすい場所です。倉庫内で通気が悪かったり、温度や湿度の管理が行き届いていない場合、コクゾウムシが大量発生することがあります。特に、長期間保管された穀物がある場合、害虫の被害が広がりやすく、適切な管理が求められます。

穀物の輸送中

穀物が農場や倉庫から輸送される際にも、コクゾウムシが発生することがあります。輸送中に適切な管理が行われていないと、穀物袋の中で繁殖する可能性があります。特に高温多湿の環境下での輸送は、コクゾウムシが活発に活動する条件を提供してしまうため、注意が必要です。

3. 商業施設での出現場所

コクゾウムシは、家庭や農業施設だけでなく、商業施設でも発生することがあります。特に、スーパーマーケットや小売店などで大量の穀物や乾燥食品を取り扱う場所は、発生源となり得ます。

食料品店のバックヤード

スーパーマーケットや食料品店のバックヤードでは、商品が大量に保管されるため、コクゾウムシが侵入するリスクが高まります。特に、開封された商品や管理が甘い食品は、コクゾウムシの繁殖場所となることが多いです。バックヤード内で穀物が適切に密閉されていなかったり、通気が不十分な場合、コクゾウムシが増殖しやすくなります。

小売店の陳列棚

小売店の陳列棚でもコクゾウムシが発生することがあります。米や乾燥食品が陳列されている棚に隙間がある場合、コクゾウムシが侵入して卵を産み付けることがあります。特に包装が不十分な商品や破損している袋の商品は、コクゾウムシにとって絶好のターゲットとなります。

パン屋や製粉工場

コクゾウムシは、小麦粉を使用するパン屋や製粉工場でもしばしば見つかります。小麦粉の貯蔵や輸送が適切に管理されていないと、そこにコクゾウムシが発生し、製品に被害を及ぼすことがあります。特に、製粉工場では大量の小麦粉を扱うため、一度発生するとその範囲は広範囲に及びやすいです。

4. 自然環境や周辺地域

コクゾウムシは通常、屋内や貯蔵庫で発生する害虫ですが、農場や穀物畑の周辺地域でも見られることがあります。穀物の収穫時期に、フィールドに残された穀物のかけらや、こぼれた種子にコクゾウムシが集まることがあり、それが貯蔵施設に持ち込まれることもあります。

コクゾウムシの出現を防ぐための対策

コクゾウムシの出現場所を知り、事前に対策を講じることで、被害を最小限に抑えることが可能です。以下は、出現場所に応じた対策の例です。

  • 密閉保存:家庭でも商業施設でも、穀物や乾燥食品はしっかりと密閉して保存することが重要です。
  • 定期的な点検:食品棚や倉庫を定期的に点検し、コクゾウムシが発生していないか確認します。
  • 湿度管理:穀物が保存される場所では、湿度を低く保つことが効果的です。特に梅雨の時期など、湿気が高まる季節には乾燥剤を使用することも有効です。
  • 早期発見と駆除:コクゾウムシを早期に発見した場合は、速やかにその食品を廃棄し、周辺をしっかりと掃除・駆除することが必要です。

5. 発生時期

コクゾウムシ(穀象虫)は、主に穀物を食害する小型の甲虫で、特に米や麦、とうもろこしなどの保存食品に被害を与えます。発生時期は主に気温や湿度に大きく左右されるため、季節ごとにその活動の活発さに変化があります。以下では、コクゾウムシの発生に関する時期と、それに影響する環境要因について詳しく解説します。

1. コクゾウムシのライフサイクル

コクゾウムシは、卵、幼虫、さなぎ、成虫という完全変態を行う虫です。成虫のメスは、穀物の中に卵を産み付け、孵化した幼虫は内部で成長します。幼虫期には外から見えないため、被害は穀物を開けるまで気づかれないことが多く、被害が深刻化する場合があります。発生時期を考慮する際には、こうしたライフサイクルも重要な要素となります。

2. コクゾウムシの発生しやすい時期

コクゾウムシの発生は、特に温暖で湿度の高い環境で活発になります。日本の気候において、春から秋にかけてがコクゾウムシの活動期です。特に、**気温20~30℃**が繁殖に最適な条件とされ、この時期にコクゾウムシは急速に増殖します。

春(4月~6月)

春はコクゾウムシの活動が徐々に活発になる時期です。冬の寒い間は活動を抑えている成虫が、気温の上昇とともに再び活発になり、繁殖を開始します。気温が20℃を超える頃から、コクゾウムシの活動が本格化しますが、この時期はまだ増殖が緩やかです。しかし、湿気が多くなる梅雨の時期に差し掛かると、急速に増える傾向があります。

夏(7月~9月)

夏はコクゾウムシの活動が最も盛んな時期です。特に日本の梅雨明け後、7月から9月にかけての高温多湿な気候が、コクゾウムシの繁殖に理想的な環境を提供します。この時期、気温が25℃から30℃に達することが多く、湿度も高いことで、コクゾウムシは数週間で成虫になり、次々と卵を産みます。この時期に適切な管理を行わないと、穀物貯蔵庫や家庭の米袋に大量発生する可能性があります。

秋(10月~11月)

秋になると、気温が徐々に下がり始めますが、10月頃まではまだ活動が続きます。特に、日中の気温が20℃を下回らない限り、コクゾウムシは繁殖を続けます。11月になると気温が低下し、活動は次第に鈍化しますが、屋内や温度管理の不十分な貯蔵環境では活動が続く場合があります。

冬(12月~3月)

冬はコクゾウムシの活動が最も鈍化する時期です。コクゾウムシは寒さに弱く、気温が15℃以下になると活動がほとんど停止します。しかし、完全に死滅するわけではなく、温暖な場所や暖房の効いた環境では冬場でも活動を続ける場合があります。家庭や貯蔵施設の中で気温が一定に保たれる場合は、冬でも少数のコクゾウムシが発生することがあります。

3. 発生に影響を与える要因

コクゾウムシの発生時期は、気温や湿度だけでなく、他の環境要因にも大きく影響されます。

  • 気温:コクゾウムシは気温が20℃を超えると活発になり、25~30℃で最も繁殖力が高まります。寒冷地や冷蔵保存環境では発生が抑えられます。
  • 湿度:湿度が高い環境は、コクゾウムシの繁殖を助長します。特に梅雨の時期や湿気の多い地域では、穀物の保管場所に注意が必要です。
  • 保管環境:穀物が長期間保存され、通気の悪い環境にあるとコクゾウムシが繁殖しやすくなります。湿気を帯びた袋や、温度管理の不十分な貯蔵庫は、コクゾウムシの温床になり得ます。

4. コクゾウムシの発生を防ぐ対策

コクゾウムシの発生時期を把握し、適切な防除対策を取ることが大切です。以下は、発生を防ぐためのいくつかの具体的な方法です。

  • 穀物の冷蔵保存:穀物は可能な限り冷蔵庫で保存し、温度を低く保つことが効果的です。特に、気温が20℃を超える夏場には冷蔵保存が推奨されます。
  • 湿度管理:湿度が高くならないよう、通気性の良い場所で穀物を保存し、湿気を防ぐために乾燥剤を使用することも有効です。
  • 密閉保存:コクゾウムシは袋や容器の隙間から侵入するため、密閉容器での保存を心がけましょう。
  • 定期的な確認:定期的に穀物を点検し、早期にコクゾウムシの発見・対処を行うことで、大規模な被害を防ぐことができます。

6. 駆除に必要なアイテム

コクゾウムシを効率よく駆除するためには、以下のアイテムが役立ちます。

密閉容器
穀物や乾燥食品を保管する際には、完全に密閉できる容器を使用することが推奨されます。特に、ガラス製やプラスチック製の蓋付き容器が便利です。


防虫シート/防虫剤
市販の防虫グッズを活用し、食品棚や保管場所に設置することで、コクゾウムシの侵入を予防

この記事の作成者
害獣駆除の専門家 ケーシーさん

害獣駆除センター
害獣駆除の専門家
元田 ケーシー


害獣駆除センターの害獣駆除の研究員です。害獣の生態や効果的な忌避方法を研究しています。記事で執筆している内容は、自社で試験調査した内容や、国内と海外の学術論文を基に情報提供しています。

地域別駆除実績

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